学習プログラム

ナショナル・アイデンティティを
育む学習プログラム

本ページでは「盆踊り」を題材にナショナル・アイデンティティを育む学習プログラムをご紹介します。

※本プログラムは、学習指導要領に記載された学習内容をそのまま具現化するものではありません。なぜなら学習指導要領は告示される時期によって、目的や内容が変化するからです。本プログラムを研究授業等で使用される場合には、学習指導要領における各学年の目標、内容等に合致するよう、加筆修正してご利用下さい。

1 学習の目標

  1. ① 日本の盆踊りがナショナルな文化であることを理解する。
  2. ② 日本の文化のよさを感じ取ることを通してナショナル・アイデンティティを育む。

2 学習の計画

時 間 第1時(総合的な学習の時間)
目 標 地域でおこなわれている祭りや盆踊りを知る。
学 習 その芸能がいつ、どこでおこなわれているのか、何がおこなわれているのか、をグループで調べる。
留意点 ※娯楽としての盆踊り大会などをとりあげてもかまわない。運動会などで〈南中ソーラン節〉などを踊っている場合はそれでもよい。ここでは、日本の芸能に対する日本人の愛着を認識させることが大切である。ゲストティーチャーを招いてもよい。事前に動画を入手しておくと効果的である。
時 間 第2時(音楽科)
目 標 地域の盆踊りと日本国内の盆踊りを比較する。
学 習 共通点や違いを整理し、発表する。(③映像教材1を使用)
留意点 ※踊り、衣装、音楽、楽器など個別の要素に着目させる。ジグソー学習などを仕組んでもよい。盆踊りが日本国内に共通するナショナルな文化であること、共通のキーワードが「先祖供養」であることを理解させることが重要である。
時 間 第3時(道徳科)
目 標 盆踊りに込められた人々の思いや願いを知る。
学 習 日本人はどのような思いで盆踊りをおこなってきたのかを考える。(⑤読み物資料を使用)
留意点 ※盆踊りには、もともと先祖供養という意味が込められている。「盆に死者の魂が帰ってくる」という感覚は、日本の独特のものです。そして、死者の霊を迎えたり、送り出したりするためにおこなわれるのが盆踊りある。現在、「先祖供養」という感覚は薄れているものの、盆に帰省して墓参りに行くという感覚はまだまだ現存している。これら現在の感覚と結びつけ、古くからの日本人が盆踊りという芸能や音楽にこめた願いを理解させる。インターネットで調べたり、ゲストティーチャーから話をきいたりする活動を仕組んでもよい。
時 間 第4時(音楽科)
目 標 日本の踊りと海外の踊りを比較する。
学 習 日本の芸能や音楽の特徴を理解する。(④映像教材2を使用)
留意点 ※日本の盆踊りに込められた願いを理解したうえで両者の比較をすることで、日本への愛着を実感させることができる

3 指導のポイント

第1次
(総合的な学習の時間)

1時間目:地域でおこなわれている祭り(盆踊り)を知る。

  1. ① 地域でおこなわれているお祭りにはどのようなものがあるかを問いかけます。
    ※地域に伝統芸能としての盆踊りが存在してない場合は、娯楽としての盆踊り大会でもかまいません。たとえば、2024年の東京では、六本木ヒルズ盆踊り大会、日比谷公園丸の内音頭大会盆踊り大会などがおこなわれています。また、運動会などで〈南中ソーラン節〉などを踊っている場合は、それをとりあげてもよいでしょう。ここでは、盆踊りに対する日本人の愛着を認識させることが大切です。
  2. ② その芸能がいつ、どこでおこなわれているのか、何がおこなわれているのか、をグループで調べます。
    ※インターネットで調べましょう。ゲストティーチャー等を招いてもよいでしょう。事前に動画などを入手しておくとよいでしょう。


第2次(音楽科)

2時間目:地域の盆踊りと日本国内の盆踊りを比較する。
③映像教材1

  1. ① 日本にはさまざまな盆踊りがあることを知らせます。
  2. ② 映像教材1をもちいて、共通点や違いを整理し、発表させます。
    ※踊り、衣装、音楽、楽器など個別の要素に着目させ、ジグソー学習などを仕組んでもよいでしょう。盆踊りが日本国内に共通するナショナルな文化であることを、共通のキーワードが「先祖供養」であることを理解させることがポイントです。


第3次(音楽科)

3時間目:盆踊りに込められた人々の思いや願いを知り、郷土を愛する心情を育てる。
⑤読み物資料

  1. ① 日本人はどのような思いで盆踊りをおこなってきたのかを考えます。
    ※盆踊りには、もともと先祖供養という意味が込められていました。「盆に死者の魂が帰ってくる」という感覚は,日本の独特のものです。そして,死者の霊を送り出されるためにおこなわれるのが盆踊りです。現在,もともとの盆踊りにみられた「先祖供養」という感覚は薄れてきていますが、盆に帰省して墓参りに行くという感覚はまだまだ現存しています。これら現在の感覚と結びつけ、古くからの日本人が盆踊りという芸能や音楽にこめた願いを理解させましょう。読み物資料を使用してもよいですね。また、インターネットで調べたり、ゲストティーチャーから話をきいたりしてもよいでしょう。


第4次(音楽科)

4時間目:日本と海外の踊りの比較を通して、日本の芸能や音楽の特徴を理解させるとともに、そのよさを感じ取らせる。
④映像教材2

  1. ① 映像教材2をもちいて、地域等の盆踊りと海外の踊りを比較します。
    踊りの特徴や音楽的特徴をみつけさせるとよいでしょう。日本の盆踊りに込められた願いを理解したうえで両者の比較をすることにより、日本への愛着を実感することができます。